透明水彩絵の具について
透明水彩絵の具とは、顔料(色の粉)とその顔料を紙に張り付けるためのノリ(展着材)で出来ています。
透明水彩の展着材は、良質のアラビアゴムです。
アラビアゴムとは、アラビアゴムノキなどのアカシア科の植物から採れる天然樹皮のひとつです。樹皮の傷口からの分泌物を乾燥させたものが使われます。吸水すると粘度が出ます。
他の絵の具の展着材はというと、油絵の具は油アクリル絵の具はアクリル樹皮が使われています。展着材の違いで、絵の具の種類が決まります。
1832年、英国の絵の具メーカーのウィンザー&ニュートンが石けん製造の副産物のグリセリンを絵の具の保湿剤に使って水彩絵の具を製造しました。これによってペースト状のすぐ溶ける絵の具になりました。
透明水彩と不透明水彩の違い
透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具の違いは、顔料とアラビアガムなどの展着剤との配合の比率で決まります。
- 透明水彩絵の具は展着剤を多めにして作っています。
- 不透明水彩絵の具は展着剤を少なめにして作っています。
また、それぞれの違いは下図のようになります。
不透明水彩の場合
色を塗ると下の線は見えなくなります。また色を重ね塗りしても、下の色は透けません。
絵の具を水で溶いて描きますが、速乾性があります。乾くと水に溶けません。木や石、布など様々ものに描くことが出来ます。
アクリル絵の具、アクリルガッシュなど。
透明水彩の場合
色を塗っても下の線が見えます。また色を重ね塗りすると、下の色が透けるので、下の色と上の色が合わさるので混色されます。
半透明水彩の場合
この他にも、小学校などで使われる半透明水彩絵の具があります。半透明水彩は、透明水彩と不透明水彩の丁度中間的な特徴を持ちます。水の量で透明にも不透明にも出来ます。子供が使いやすいようにと作られました。
透明水彩絵の具の特徴
- 発色が綺麗で、絵の具を溶く水の量で“にじみ”や“ぼかし”といった美しい表現が出来ます。
- 暗い色の上に明るい色を塗っても色は明るくなりません。明るいところは塗り残すのが透明水彩の基本です。
- 同じ色、同じ濃度の絵の具を塗り重ねると色は濃くなります。
- 違う色を塗り重ねると混色になります。